こんにちは。

東京都三鷹市ハートフル歯科の本山です。

今回は、外科的歯内療法の2大術式、
歯根端切除術に並ぶ、”意図的再植術”について
書きたいと思います。

通常の根管治療でも治癒に至らないケースは、
実は少なくありません。

そのような場合は、外科的歯内療法を選択します。

意図的再植術とは、歯を一度抜歯してしまい、
口腔外で歯根の処置を行い、
再び元の場所に戻す術式です。

口腔外で処置ができるので、
非常に完成された術式です。

ただし、歯根が曲がっているような場合には、
抜歯時に折れてしまうリスクがあります。

また、残存歯質の少ない歯は、
意図的再植術の適応外になります。

術前の診査・診断を正確に行い、
慎重に適応症例かどうか
判断する必要があります。

ここで、実際の症例について
ふれてみたいと思います。

<症例⑥>
50代 女性
主訴:右下奥歯
   歯肉の腫れがひかない。
   膿のようなものがでている。

   
初診時のレントゲン写真です。
根管充填材が不十分な状態です。

   
根管治療中の状態です。
この時点でも、フィステル(ろう孔)の消失は、
認められません。

フィステルがなかなか消失しないため、
病変の大きさを確認するために、
CT撮影を行いました。

   

   
フィステルの消失も認められず、
根尖病変の大きさなども考慮して、
外科的歯内療法に移行することにしました。
歯根の形態などからも、
意図的再植術の適応と判断しました。

まず、根管充填まで行いました。

   
根管充填後です。
4根管ありましたが、
近心2根(右側の手前側の根)は、
根管が閉塞しており、開いているところまで
根管充填しました。

そして、意図的再植術を行いました。

 
抜歯し、口腔外にて根尖を切断して、
メチレンブルーにて破折の有無などの
診査を行っているところです。

   
再植後です。
MTAセメントにて、逆根管充填を行い、
根尖の封鎖をしました。

この後は、経過観察を行っていきます。
完全な治癒が得られるまでには
少なくとも1~2ヶ月が必要である
と言われています。

通常の根管治療で問題解決できない場合は、
外科治療に移行するのが望ましいと思います。

今回のような意図的再植術を取り入れ、行うことで
より保存的な治療が行えるようになります。

しかし、そこには正確な診断が必要不可欠であり、
正しい症例選択が重要であると言えるでしょう!

“すべては患者様の笑顔のために”

今後ともよろしくお願い致します。

医療法人社団徹心会ハートフル歯科