本山先生エンドマスターへの道

2016.09.12更新

こんにちは。
三鷹市 ハートフル歯科医院、ハートフルデンタルクリニック、三鷹ハートフル小児歯科歯科医院、
三鷹ハートフル矯正歯科医院を含む、
ハートフル総合歯科医院グループ 
歯科医師 本山です。


先日、土曜日の診療をお休みさせていただいて、

Penn Endodontic Global Symposium in Japan 2016

-インプラント時代の歯内療法-

                                       に参加してきました。


理事長・ミナ先生、メンバーの皆様、

ありがとうございます。

 

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このシンポジウムは世界10ヶ国以上、

日本でも2012年に東京で開催されており、

私は今回初参加させていただきました。
ペンエンドグローバルシンポジウムの

特筆すべきところは、演者が全員

ペンシルバニア大学の先生方なのです。

ペンシルバニア大学は世界の歯内療法(根管治療)を

牽引していると言っても過言ではない

非常に優秀な大学であると言われております。

そのペンシルバニア大学の先生方の質の高い2日間

に渡る講演を聴講することができるということで

ワクワクしながら受講してきました\(^o^)/

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今回、12名の演者の先生方による

発表がありました。

全ての講演が素晴らしく、

どれも心惹かれるものばかりでしたが、

その中でも特に私が気になった2名の先生の講演に

ついて書かせていただきたいと思います。

 

(1)Gilberto Debelian先生

「歯内療法領域で三次元的な根管形成を

   実現するための伸縮性のある

   ニッケルチタニウム性のファイルの応用」

 

根管系の仕組みは非常に複雑であると

言われております。

 

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マイクロCTを用いた根管形成の研究によると、

従来の円状のファイルを用いた根管形成後では

根管壁の45~55%ほどしかファイルが触れて

いないことが分かっているそうです。

つまり、到達できていない根管壁が存在し、

当然その部分の清掃は不十分であるということに

なります。

そのことを補うために根管洗浄

(次亜塩素酸ナトリウム+EDTA)、

超音波やレーザーを用いた方法などが

行われています。

しかし、それらを解決するための画期的なファイルが登場します!

 

 “XP-endo ファイル”

 

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XP-endo ファイルは、温度に依存した形状記憶を有するニッケルチタニウム合金(Mワイヤー)の

原理を有しています。

低温(根管外)ではマルテンサイト相(Mフェーズ)状態となりストレートですが、

体温(根管内)にさらされるとオーステナイト相

(Aフェーズ)時の分子記憶に従って

その形態を変化させます。

回転時にAフェーズの形状であることにより、

通常のファイルでは届かないところまで

到達し、清掃が可能になるというわけです。 

Aフェーズはフック形状になり、

その動いている様子は

まるで“蛇”のように私には見えました・・・

蛇のことを考えていたら、ふとあるものが

浮かんできたのです・・・

皆さん、「三国志」はご存知でしょうか?

三国志に登場する武将の中に、“張飛”という武将が

登場します。

 

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張飛は、三国志の中でも万夫不当と言われている

武勇の高い武将です。

張飛は、“蛇矛(じゃぼう)”と言われる

武器を使います!

 

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根管内にも蛇矛のようなXP-endo ファイルが

入っていくのであれば、

根管内の残渣も一掃されることだろうと

考えてしまったわけです・・・(笑)

 

高い柔軟性と直径6mm(同サイズのファイルの

100倍の直径)拡張できる特性により

到達不可能だった根管の機械的清掃が可能になった

ことは、根管治療の成功率を上げることができる

画期的なファイルであると感じさせられました。

素晴らしい貴重な講演、ありがとうございました。

 

(2)MEETU KOHLI先生

「歯内療法におけるバイオセラミックス

 ーシーラーを主とした根管充填ー」 

 

MTAという材料があります。

MTAは歯内療法(根管治療)の臨床において

劇的な変化をもたらしています。

研究も広く行われており、臨床的また学術的にも

信頼を得ています。

私もMTAの使用頻度は多く、

臨床的に非常に助けられております。

しかし、根管充填には使用しづらい、

操作性が悪い、変色を起こす

傾向が欠点として考えられます。

最近では、新しく改良されたバイオセラミックスを

歯内療法領域に導入しており、

根管充填に重きをおいたバイオセラミックス、

“バイオセラミックシーラー”に関する

研究考察を教えていただきました。

 

通常の根管充填の場合、ガッタパーチャとシーラー(糊のようなもの)の間には、

ギャップが生じてしまいます。

つまり、封鎖がしっかりできなくなるため、細菌の漏洩を引き起こしてしまいます。

ハートフル歯科でも保険内で使用している

“酸化亜鉛ユージノールシーラー”も

体液や唾液にさらされると安定しない、

また吸収されてしまうという弱点があります。

ガッタパーチャとシーラーは、

More GP  Less Sealerと言われており、

ガッタパーチャを多く、

シーラーを最小限にするということであり、

シーラーが多くなると、通常のシーラーは

収縮するためにギャップが生じてしまうためです。

根管充填方法もスタンダードな側方加圧充填よりも

垂直加圧充填の方がシーラーを少なくする

ことができると言われております。 

 

 

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バイオセラミックシーラーはシングルポイントの

ガッタパーチャが中央にあり、シーラーで

周りをsealing(封鎖)していく形をとります。

なぜ、このような形をとるかと言いますと、

バイオセラミックシーラーには

他のシーラーにはない唯一最大の特徴を

有しているからなのです。

硬化すると“膨張”するというメリットがあります。

膨張するためにギャップが生じにくくなると

いうことなのです。

 

ところで、バイオセラミックとは

一体どのようなものなのでしょうか?
生体機能を代行するセラミックスを言います。
生体適合材料の一種で,主に人工骨や人工関節、

歯、人工歯根などに用いられます。
人体に対する毒性がなく、生体組織によくなじみ、

しかも耐久性があることが求められます。

生体材料としての非金属無機材料を

バイオセラミックスと言います。
セラミックスは生体内においても

周囲組織に溶出せず、安定であるため、

生体組織との親和性がよいこと、
摩擦、摩耗に優れるという特徴があります。
生体内不活性型と活性型があります。

リン酸塩ガラスがバイオセラミックの

バイオガラスとして利用されているようです。
特に人工骨、人工の歯の永久歯根などに

使用が検討されています。
骨はリン酸カルシウムを主成分としていますから、

リン酸塩のガラスは親和性が良いと言えます。
強度の保証もできます。
何よりも他のセラミックと違いガラスは加熱変形が

可能で、加工に適していますから、

ガラスをバイオ関係に利用しようと研究が

進んでいます。

 

3つのタイプに分けられます。
①Bioinert(生体不活性)
アルミナ(Al2O3)、ジルコニア(ZrO2)、

チタニア(TiO2)などがあります。
②Bioresorbable(吸収性)
骨に置換される
③Bioactive(生体活性)←Endo
リン酸カルシウム(ハイドロキシアパタイト)

 

バイオセラミックシーラーは、一回硬化すると

安定します。
またMTAと同等、もしくはそれよりも良いと

言われています。

Biocompatibilty(生体適合性)の面においても

非常に優れているというわけです。

 

Fracture Resistance(破折抵抗性)においては、
BC coated GP VS Not
BC coated GP

←天然歯と同じくらいに回復したという

報告があるそうです。


そして、Leakage(漏洩)も少なく、Antimicrobial(抗菌性)、
Discoloration(非変色性)も備えています。
MTAは、造影作用として酸化ビスマスを

含んでいるため、暗い色に変色してしまいます。

そのため、審美的領域には使用しづらい

側面があります。

しかし、現在は変色に関して改良されている

MTAも出てきています。

また、操作性に関しても流動性があるために

側枝への充填も可能となっております。

 

Re-Treatabilty(再治療は可能であるかということ)

においては、再治療に関して充填材を

除去することを考えなくてはいけません。

バイオセラミックシーラーは、除去可能です。

MTAは除去困難と言えます・・・
但し、バイオセラミックシーラーは

封鎖性が高いため、

細菌感染のリスクは少ないため、

再治療のリスクも少ないのではないか

と仰られていました。
除去しやすいかを考える必要性も

少ないということです。

 

最後に実際の臨床例からFollow up 6 months を

見せていただきましたが、
有意に治癒しており、骨が誘導されるためか、

治癒も早い傾向にあるとのことでした。

 

ちなみにハートフル歯科でも自費治療において、

私はバイオセラミックシーラーを

使用しております。

ペンシルバニア大学における根管治療の

プロトコールに、バイオセラミックシーラーは

必須であるということでした。

 

歯科における材料の進歩、特に歯内療法における

材料の発展も近年目覚ましいものがあります。

しかし、大事なことは多くの情報が溢れている中で

一番患者利益が高いのは何であるかという目と耳を

持ち合わせて選択していく必要があると

言えるのではないでしょうか?

 

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最後に、ペンシルバニア大学

歯内療法科教授のSyngcuk Kim先生

エンド(根管治療)VSインプラントという

テーマについて仰られていました。

 

保存可能であったかもしれない歯牙が抜歯され

インプラントが埋入される時代において、

歯内療法由来の病変が根管治療のみによって

治癒が困難であると判断された場合、

外科的歯内療法が予知性の高い結果を

もたらすことは、文献上でも強く

支持が得られています。

エンドと比べて、インプラントにおける

Success、Survivalの定義が明確ではなく、

インプラントを乱用することは注意が必要です。

インプラントは万能薬ではなく、

やはり天然歯には勝てないのです・・・

私はインプラント治療が欠損部を

補うということにおいては

非常に素晴らしい治療であると考えています。

しかし、インプラント治療と根管治療あるいは

外科的歯内療法の意思決定について、

十分な議論が必要であるということを

改めて強く感じました。

 

今回のペンエンドグローバルシンポジウムに

参加させていただいて

最先端の知見、レベルの高い臨床に

ふれることができました。
非常に有意義な2日間でした。
明日からの日常における臨床に

生かしていけるように、

患者様に少しでも還元できるように

努めてまいりたいと思います。

 

“すべては患者様の笑顔のために”

今後ともよろしくお願い致します。

 

投稿者: 本山 直樹

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